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技術に関する疑問

右巻き、左巻きについて教えてください。
巻き方向を語るのは難問ではありますが、技師冥利に尽きる楽しくややこしい質問でもあります。
基本的に押しバネと引きバネ、捻りバネの巻き方向の使い方考え方には違いがあります。 ネジリバネは巻き方向に対して逆に力を加えると弱いとされています。滅多にこのような使い方はしません。 たまに取り付けスペース的に巻き方向を変える場合があります。またヒンジバネなどは左右対称に2ケ使ったりするので、右巻き左巻きセットでというのが多く見られます。
面白いのが引きバネの巻き方向指定ですが、これは引きばね本来の使い方をされない場合か、巻き方向と逆に捻る使い方をされるかです。
押しバネと引きバネは、捻りバネと違い巻き方向に力を加えては弱いとなっています。 このへんがややこしいところですが、実物を目の前にすればすぐに分かります。
最後の押しバネの巻き方向ですが、ネジ関係の動き止めなどに使用される場合に左巻きを使われるお客様がおられます。 ワッシャーをかませれば巻き方向は関係ないと思うのですが、お客様のご要望に答えることが品質第一としていますので仕方なく(笑)製作します。
職人からすれば毎日、右巻きばかり作っていると左巻きが全く同じスペックのバネであっても、全然違うものに見えてしまいます。
余談ですが絡んだ押しバネを解くとき、左巻きのほうが解きやすいという意見もあります。あとアメリカでは左巻きが多いとか。 自分自身は右巻きが好きです。 バネを目の前に置いたとき右上から左下に流れるワイヤーが心にしっくりとくるのです。
バネとはなんと奥行きの深くおもしろいものかと、また好きになりました。
精度はどこまで保障できますか?
バネは形を変えて動くもの、ということをお分かりいただけるでしょうか。
要するに金属の塊ではないのです。プレス成形品、切削部品などでしたらで精密管理は普通にできるでしょう。
バネは弾力のある線材が空間的に形を形成しているものですから、1,000分台の管理は出来ません。押しバネなど圧縮された場合、ボディー部分がわずかに膨らみます。このためギリギリの筒の中に入れて使用する場合など注意が必要です。当社では押しバネなどの外径管理は大きさにもよりますが、基本的に±0.05〜0.3で管理しています。
押しバネの自由長管理などは、さらに大きくなっています。設計によって単位長さあたりの強さがいろいろあるため、弱いバネでは自由長のバラツキに対する影響を受けにくくなっています。このため自由長に対する精度はあまり求めないとしています。トーションバネにおいても角度に変わるだけで、角度の精度の考え方は同じです。
というわけで、必要以上の精密管理にはコストがかかってしまうこと御了承ください。逆にお任せいただいて精度の公差を決定したほうがコスト的に大変有利です。
材料径に関してはメーカー側で約プラスマイナス5/1000mmくらいで管理されておりますので、ほとんど設計に害を及ぼすことはありません。
テンパーとブルーイングの違いについて教えてください。
一般的に材料を常温でバネの形状に加工いたしますと、無理やり曲げますので金属疲労が起こります。
これを残留応力といいます。この状態で何らかの力を加えると変形してしまいます。このままではバネの性質にはまだ程遠いので、ここでテンパー処理(電気炉で適切な温度と時間)を行うことにより、乱れた金属分子の並びを均一化し初めてバネとしての性質が生まれてくるのです。
焼きいれ焼き戻しとは違いますので御注意ください。
一方ブルーイングは、同じ電気炉を使い鋼表面に鉄の酸化物皮膜を作り、外観や耐食性を改善させる処理のことです。鋼材料の場合、温度時間がぴったり合えば素晴らしい群青色の膜が形成されます。しかし酸化皮膜により耐食性が上がると申し上げましたが、同時に防錆油分も蒸発してしまうため、やはり錆びる可能性がありますので再度防錆油塗布をお勧めします。ステンレスでは材質上、黄色くなる傾向があり青色にはなりにくいですが、酸化皮膜は形成されています。
このようにブルーイング処理とは鋼やピアノ線に行う処理のことであり。表面処理のみということです。残留応力除去云々とは関係ありません。
また材料のロットやメーカーなど、いろいろな要素により均一な青色を発色をさせることは、非常に難しいとされています。
バネにメッキはできますか?
バネとメッキは古くから切っても切れない縁で結ばれています。
バネのように躍動するものにももちろん可能です。良いメッキには硬さと粘りがありますので、決して剥がれるような事はありません。
当社におきましてもメッキ専門のアドバイザーが、お客様の難問を解決いたしますのでどうぞお任せください。
まず、コスト的にアドバイスいたしますと腐食対策で処理されるなら、数量やメッキの種類によりまして、ステンレスで再設計したほうが お安くなる場合もありますので、是非処理される前にお問い合わせください。環境負荷に対しましても六価(六価クロム含有)、三価(六価クロム含有無し)、と選択可能です。類似品に対するマーカー代わりにメッキされるお客様もおられます。
もともと錆びにくいステンレスをもっと錆びにくく、もっと美しく、かつ衛生的にできる不動態処理(表面処理)といわれるものもあります。
タンクローリーやスプーン、フォークが代表的です。それをステンレスバネにも応用できるのです。パシペート処理とも呼ばれています。
このようにメッキとは、もともと鉄鋼材料に対しての腐食対策や装飾目的で、いろいろな種類がありますので、その中よりお客様に最適なメッキ処理を提案いたします。バネ以外の製品も処理しておりますので、よろしく御検討ください。
バネ定数ってなんですか?
定数とは、押しバネや引きバネを自然な状態から力をかけたとき、或いは力がかかった状態からさらに力をかけたときに、 その力の差を動かした距離(角度)で割ったものです。単位は昔はkgf/mmでしたが最近はN/mmで表します。
1mmあたり(1度あたり)どれだけの力が出せるかということです。
トーションバネの場合、kgf/rad、N/radとなり動かした距離が角度に変わるだけで考え方は同じです。
設計ではバネ一つに対してバネ定数は一つしかありませんが、そのバネがどう使われるかで誤差が生じます。
製造部門で厄介なのは、そのため図面通りの荷重が出しにくい時があります。
バネ定数は、バネに力をかければかけるほど高くなるのが、一般とされています。
それをどうにか帳尻を合わすのが技術なのですが、世間のバネ定数計算式では物理的に製作不可能なバネでも、 計算できて答えが出てしまうため設計に注意が必要です。
一般にはバネ定数が大きければ硬いバネ(バネごとの荷重のバラツキが大きい)、 小さければ柔らかいバネ(バネごとの荷重のバラツキが小さい)、ということになります。
セッチングはどのような効果があるのでしょうか?
押しバネによく応用されるバネの耐力を上げる技術の一つです。最大使用荷重の1割増し程度の力を加え、 予めバネをへたらしておくというものです。「へたる」という言葉に語弊があるのですが、簡単に言うとへたらすことにより 加工硬化がおこり耐力が上昇するわけです。詳しくは表面層に使用状態と逆方向の残留応力層が形成されるため、 加工後にはバネの変形、疲れ強度向上に有効であるとされています。しかし製造段階でセッチングによるバネ長さの減少を 考慮に入れて巻かなければならなく、研磨工程などが加わると製造段階でのやり取りが増え、コストの上昇も懸念されます。
当社ではコスト削減のため、取付時の寸法を気になさらなければ、ヘタリ寸法を計算にいれたものを製作いたします。
お客様はそのバネをセットされて数回使用されれば、完璧とは申せませんがおおむねセッチングと同じ効果が期待できます。
是非一度お試しください。
タコ掛けってどういう技術ですか?
大変申し訳ありませんが、バネメーカーにはこの技術はありません。 しかし当社も後処理としてメッキを扱っている以上、知っておかなければいけない重要な技術であります。メッキ会社様ではこの技術に命をかけられてる方もおられると聞きます。 では簡単ではございますが説明させていただきますと、キズや変形、処理後のカラミが懸念される場合、あるいは厚付けしたいメッキ処理を行う際に、治具に一つひとつ製品を取り 付け(引っ掛けて)メッキ槽に入れます。この治具の形状がタコの足に似ていることから、この作業をタコ掛けと呼ぶようになりました。定かではないのですが関西特有の呼称らし いのです。一般にはタコ掛けメッキより、治具めっき、つるしメッキ、ラックメッキというのだそうです。以前、弊社の営業で関東のお得意様に、タコ掛けが通じたことがありまし た。大阪だけかもですが、治具のことをタコと省略し品物を取り付けることを、"タコ掛け"。外すことを"タコ外し"。順番待ちのタコを"タコ置き"などなど呼び方があるそうですが 、もし間違っていればメッキメーカー様ごめんなさい。これは作業ではなく立派な技術であることは間違いありません。
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